人間には他人を救う能力はない
「愛する人が苦しんでいるのを見ていたり、淋しがっているのを考えたりする時、私はノドに刃物を突きさして自殺したくなる。そして、思わずあたたかい言葉をかけてしまう。
しかしその時、私は相手を救うためにあたたかい言葉をかけたのではなく、自分を救うためにあたたかい言葉をかけたのだ。私があたたかい言葉をかけたのは、自分の苦しさに負けたのである。
人生は強くなることによってしか生きていくことができない。
どんなに他人を愛してみたところで、その人を救うことなど人間にはできない。
人間には他人を救う能力はない。
人間が救われるためには、その人が精神的に強くなることが必要である。人間が強くなるためには、あらゆる苦しさ、あらゆる寂しさに耐えなければならない。
あらゆる苦しさとあらゆる淋しさに耐えて強くなるのだ。したがって、他人が苦しんだり淋しがったりしている時、あたたかい言葉をかけるべきではなく、冷ややかにそれを見守らなければならない。それをできる人間だけが、人を愛する能力をもっているのだ。」
・・・・この言葉の前者は私だ。
上の言葉を借りて言うなら、あたたかい言葉を発することで自分を守っているので、もしかしたら本当に傷ついてなんかいないのかもしれない。
私の知る人間で後者がいる。
そして、後者の人間は厳しくて、強くて、そしてもろい。
自分をかばっていないから、本当に心が傷ついているのがわかる。
わかるだけだ。
何もできない。