ファイトー、無理ー!!…な、戸隠・鏡池~西岳歩き その2
2053m、西岳出発。
ここからも上り下りを繰り返す。
切れた稜線、硬直する筋肉だけでも、気が抜けないのに、道のど真ん中に点在するサル軍団の置き土産を踏まないようにすることまで追加されてきた(笑)
西岳までは、足を投げ出して座ったり、横になる体勢が取れたけど、ここからはそんな場所も無く、立ちながらマッサージを繰り返す。
転ばないように、落ちないように、時間も気にしながら、距離と鎖をこなす。
ハングしたはしごで、緊張した後は、またもや出てくる同じ名前「蟻の戸渡」のナイフリッジ。
実際にナイフリッジに入ってしまえば、こっちも足場が多く、怖くないんだけど、ナイフリッジに下りて行く箇所と、ナイフリッジから稜線に移るところが細くて、斜度がきつくて、
泣きそうに怖かった。
最大斜度70度の鎖場。
足の痛みと、夕方の気配、すぐ近くに感じる猿の群れの音。
どんどんきつくなる斜度に苦しんでいるときに、とうとう一番来てほしくないものが。
風が強くなってきて、ねこちゃんに「前線かなぁ?」なんて声をかける間もなく、轟音を立てて落ちる雷と、痛いほどの大粒の雨。
もう休むこともできないので、緊張が緩まないように気をつけながら淡々と、淡々と歩く。
そして、やっとのことでたどり着いた牧草地帯。
この雨で渡れるかどうか心配していた渡渉も、思ったほどの川ではなくて、良かった一番危険地帯を暗くなるまでに抜けられた・・・・・・と思った時に、心が緩んだんだろうなぁ、と後で反省した。
後は林道と車道を少し歩けば鏡池だ、と思ったのが間違い。
思い返せば40分くらいの道のりが追加されただけだったろうと思うけど、暗さがどんどん増してくる中の林道歩きで、距離感と時間感覚がずれてくる。
もう鏡池が見えてきても良いはず・・・・との思いが、驚くことに幻覚を生み出した。
私は森の向こうに、東屋が見えては消え、白い大きな建物が見えては消えを繰り返し、ねこちゃんは、木を道しるべに見立ててしまう。
幻覚を見ていると言うことも認識しつつ、表面上は二人とも冷静で、深層ではビバークの可能性をひしひしと感じてた。
最後も道しるべの方向をが非常にわかりずらく、工事道に入り込み、しばらく歩いてから、間違いに気づいて、分岐まで引き返し、やっとやっとやっと鏡池の駐車場へ到着。
12時間の行程でした。
すぐに温泉に行って、冷えた体を温めたら、もう何も食べる気力もなく、某所で車中泊。
眠りたいのに、極度の疲れと緊張が取れず、二人ともなかなか寝付けませんでした。
いやぁ、今回は本当にきつかった。
あまり走りこめなかったのと、歩いていなかったのと、寝不足と・・・・と、すべてが自分の責任でなんとかなることばかりで、ねこちゃんに迷惑と心配をかけて、申し訳なかった~。
私の歩みが遅くて、暗くなるまでに帰れず、あの豪雨の中ビバークの可能性が十分あったにも関わらず、焦らすようなことをまったく言わずに辛抱強く待ってくれたことに助けられました。
ほんとにありがとう。感謝感謝。
いい経験と、厳しくも楽しい山行でした。
教訓
・山の前はしっかりと睡眠をとるべし。
・迷った時は必ずわかるところまで戻るべし。
・何があっても焦りの色を見せないこと。お互いに今できることを淡々とこなすべし。
あ、そうそう、ヘッデンの電池はちゃんと合う大きさのものを持ってくること(^-^;
これからも精進精進。
この記事へのコメント
お疲れ様です
足が攣っていながら、あの行程を歩ききるなんて流石です。
迷惑どころか、沢山のアトラクションを分かち合えて楽しかった~
私も反省することが盛りだくさんですが、これに懲りずにまた宜しくお願いします。
苦楽を
分かち合えたねー(笑)
でも実際よく歩ききったなー、と、自分でも思うよー(^-^;