ぴとんのこと
見送った直後は、いい形で見送れたと思うし、その後の諸所のことも普通にこなせたけど、
日常の生活が戻ってくればくるほど、そこにいないことが寂しくて何もできないなぁ。
台所にいる私をソファでじーーーーと見てるはずのぴとんはいないし、お布団に入ってもぴとんは来ないし、じょんさんと並んで座っててもずいいっと真ん中に割り込んでくるぴとんもいないし・・・・・。
ふとしたことで号泣。
楽しかった思い出にじんわりと浸れるのはもう少し後なのかも。
そして、最後の闘病は記憶が鮮明なうちに書き残してこれで終わりにしよう。
少し生々しい表現になるかもだけど。
メラノーマが肺に転移していたので口の腫瘍の切除を断念し、温存療法で軟着陸を目指したのは初夏。
サプリメント療法で9月と言われた余命をクリアできた。
状態があまり落ちた感じはなかったので、そこまで進行してるとは思いたくはなかったけど、実際には着実に進行し、次に言われた余命は年内。
確かに11月に入ったころから段階が落ちていくのが顕著にわかるようになってきた。
それでもお腹いっぱいごはんは食べてたし、お散歩も歩けて、ご機嫌な時は最後までボール遊びもしたがった。
肺の転移が進めば呼吸そのものが苦しくなるけど、ぴとんの場合、肺への転移は細かい腫瘍がばらまかれている状態で、
劇的にひどくなることは無く、首や下顎のリンパの腫れで寝方によっては苦しかったりして、夜に寝つけずうろうろしたり、
呼吸の時に雑音が混ざっていたことが目に見える症状だった。
最後の数日も食欲はあって食べたがるものの、体が受け付けず小さくしてもペースト状にしても少し経つと吐き出してしまう。
水はよく飲んだので、水に栄養剤とかを混ぜてみたけど、味があると飲みたくない様子。
それでもお腹がすいた様子で訴えてくるのがつらかった・・・・・。
食べなくなって2日後にはまともに立てなくなり、完全おむつ状態。
おむつを変えて、体を拭いてあげる時に尻尾をふりふりしてくれたのが可愛かった。
金曜日は会社を休んで1日べったり。
お腹の上に乗せて、一日うとうとしながら過ごした。
その日はなにも食べていないのに、何かを吐いたので、びっくりして見てみたら大きな血の塊。
肺由来の鮮血ではなく、暗いチョコレート色。
発酵した匂いは無いので、胃を通り越した内臓のどこかの出血だと思う。
肺に転移した腫瘍よりも、最後に猛威を振るっていたのは内臓のほうだったのかもしれない。
この日は2回ほど塊を吐いた。
明けて翌日、みんなが見えるようにぴとんをソファの一番いい場所で寝かせ、ぴとんはうとうととしながら静かに時間が過ぎていった。
水もよく飲んだし、排尿もしっかりあったので、まだもつかなぁ・・・と思っていたけど・・・・
ふと気が付くと、さっきまであっていた視線が合わない。
眼振している。
そして人間でいうところの下顎呼吸のような変な呼吸になったな・・・と思ったとたん。
ぴとんが目を見開いて、口から舌が出て、びっくりしたような表情に。
苦しそうで、この苦しさが続くのはあまりに可哀想・・・・と、思う間もないくらいの一瞬の後に
目が真っ白になり、口と舌が真っ白になり静寂。
体力低下によるのか、脱水によるのかわからないけど、心臓発作で一気に天国への階段を上ってしまっていた。
ぴとんはきっと一瞬驚いたと思うけど、ほぼ即死だったので、苦しさはなかったんじゃないかなぁ。
目指していた軟着陸ができたのかどうかはわからない・・・・・。
でも最後まで家にいられて、私の膝の上から天国に出発できたことは幸せだったと信じたい。
14年と7か月。
何事にも動じないぴとんは犬というより相棒として私の横に存在し、ずっと精神的に支えてくれてたような気がする。
本当に本当にありがとう。