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あたちは小心者だから、短めにピッチを切ることはあっても、ピッチを伸ばすことなんてないわー・・・・・あれ、なんだかはっしーが下で叫んでるわ、「ロープあと3メートルー！！！」

・・・何ですって？
て事は2ピッチ分突っ込んで来ちゃったってこと？？？
あ、あそこに2ピッチ目の終了点がある！
・・・・あと3メートルで行けるのか？？？？？

・・・・波乱の幕開け、海金剛「スーパーレイン」

昨年ＺＣＣ月一クラッカーズ（あるのかどうかは知らない）に入会してから、ずーっとずーっとずーっと登りたかった海金剛。空に向かって登っていって、海に向かって懸垂下降のクラックマルチ。去年からクラックとマルチの練習を重ねて、とうとうはっしーと出かけてきました。

数日前から緊張で頭がいっぱい。しかも普段からあまりお皿とかを割らない私が2個も立て続けにお皿を割り、なんとなく不吉な予感がしてたと思ったら、海金剛に向けて出発した土曜の夜にえのっきーから、「グランドフォールして骨盤折りました」との連絡。相当表情固まってたはず。
しかもナビ君を距離優先にしていたら、とんでもない山道に連れて行かれ、あと一歩でげろげろ状態。夜中に雲見キャンプ場に着いても、二人ともお酒を飲む気にもならず、寝袋にもぐりこみました。
星がきれい。明日は晴れますように。

そして、当日。晴れ。朝のうち微風。

1ピッチ目＆２ピッチ目　おまきリード　ハンドジャムも良くきまるし、立ち木へのランニングも取れるので快適。30メートル登ったあたりのテラスで支点・・・・とトポには書いてあったっけ。
テラス、テラス、テラス・・・・ここはテラスじゃないわよねー、レッジよねー、と思いながら登り、むむ？なんとなく嫌な予感・・・・というところで、かすかにはっしーの「ロープあと3メートルー！！！」の声が聞こえたような気がする。
登りはじめてから強くなった風で、結局一日中コールはほとんど届かなかった。
どうやらこの時も相当前から叫んでいたらしいんだけど、私には聞こえず。
マルチに慣れていないので、どの程度登ったか自分でわからなかったのが失敗。
ここで頭の中をトポの文章がめぐる。「2ピッチ目のトラバースがいやらしい」
・・・・私が少し前に過ぎたあたりがトラバースだったんだ・・・・。ふと横を見ると、すこし下に下がったところに2ピッチ目の終了点が。右にトラバースしてあの終了点まで3メートルで行けるか・・・・・？
あまりにも微妙。しょうがない、そうなったらはっしーも登ってくるしかないだろー、と覚悟を決めてトラバース。ほんとにぎりぎりで終了点にたどり着きました。
ふぃー、良かった良かった。

ここから少し右にあがって3ピッチ目。
3ピッチ目　なぜかおまき＆はっしーの合作
今回はフィンガークラックは私の担当だったので、私が取り付く。2回弓形に左上するフィンガークラック。一つ目はクリア。さて次は・・・と探すが近くにはクラックがない。見回すと、ちょっと先に私好みのフィンガークラックが。わーい、と進むが、またもや嫌な予感。ちょっと左に行き過ぎだよな・・・・。とりあえず、ここまではっしーにも上がってきてもらうか。と、3ピッチ目を途中で切る形で、はっしーを上げる。ここでやはり間違っていたことが発覚。私がリスだと思って通り過ぎたのが正解クラックでした。
結局その後ははっしーがスラブを登って正規ルートに復活。
せっかくのフィンガークラックを半分登り損ねました。残念。

４ピッチ目　はっしーリード
ここからはっしーの本領発揮のハンド、フィスト、ワイドクラック。このピッチは最初が核心。本当にクラックに慣れていないと登りづらい。はっしーはさすがに得意系のクラックだったので、見事に抜けてました。
右側が立った凹角クラックは私の最高に苦手な形。悔しいことにこのフォローでとうとう一回Ａ０。どうしてもこの斜めの凹角クラックがフリーで抜けられなかった。くやちー！！

5ピッチ目　おまきリード
先人クッラクと名がつくきれいなフィンガークラックが伸びたルート。これは登っていて気持ちいい。フィンガージャムががっちり決まるので、抜くのに苦労するほど。2回小ハングを越えるルートで、実際ムーブは難しくないし、ガバも持ってるけど、一瞬突っ込むのが怖くなりハングを超えるところでなんとテンション。抜けてしまえばなんてことない部分だっただけにこれもとても悔しい。この一瞬のひよりを無くして行かなくては。
登りきってワイドクラックを使ってカムで支点を作ってビレイ。・・・なんて初めてしたので自分でも感動。成長したねー、私も♪

6ピッチ目　はっしーリード
スラブを行ってもいいんだけど、せっかくなのでクラック部分を直登したルート。パワー系のハンド～ワイドクラック。これもはっしーはきれいに抜けていきました。すごいねー。

7ピッチ目　おまきリード
本来はこのピッチで終了のところ、右に巻かずに少し上に登ってしまったので、ロープの動きが悪すぎた。このままこの重いロープを引っ張って凹角のラスト、ランナウト部分に入っていくのが怖かったので、一旦ピッチを切ってはっしーを上げる。そのままはっしーに最終ピッチをお願いする。

8ピッチ目最終ピッチ　はっしー
2個ほどカムを決めて、あとはランナウトの最終ピッチ。ムーブも難しくないけど、終了点付近はほとんどが大きな浮石、というか浮岩。
はっしーのビレイをしていると、ゴン、ゴツゴツ、という鈍い音。
「落石―――――！！！」のはっしーの声。すごい大きな岩が落ちてくる予感がして、上を見る。私がいるところは、はっしーが登っている凹角からは少し横に入っているので、直撃は無いはず。
一個目、炊飯器くらいの岩。続いて2個目。これが大きかった。電子レンジ大の岩。私の3メートル横くらいのテラスに激突し割れて落ちていった。テラスで割れた小石がヘルメットにぶつかる音がして、前さかもっちーが教えてくれた、岩どうしが当たったときの火花のようなこげた匂いが一瞬にして私の周りに充満したような気がした。
上からはっしーの声がするので、はっしーもどうやら無事らしい。後で聞くと足元の岩が崩壊し落ちたとの事。最終ピッチお願いして良かったー。
フォローでも心臓どきどきものの巨大ガレ場を登りきり、登攀終了。

・・・・でもまだ終わらない。
家に帰るまでが遠足って教えてもらったよなー、子どものころ。

波乱の懸垂下降がここからはじまる・・・・。